家族信託をしても借り入れはできますか?

質問:新潟市在住80代男性の方

私は先代から相続した不動産を多数所有しており、その中にはアパートもあります。

最近、私が所有しているアパートの近くに新しいアパートが建設されました。自分のアパートもいずれ老朽化してくるし、周辺にはまだ更地があるので今後もまた新しいアパートが建ちそうなので、新築のアパートに入居者を取られてしまわないように今後は大規模修繕が必要になってくるなあ、と感じました。今は元気なので、私がアパートの経営をしていますが、今後も老朽化に伴う大規模修繕が見込まれ、その場合には資金を金融機関から借入する必要があります。今はその必要はまだありませんが、いざ大規模修繕が必要になった時に私が融資の契約ができる状態にあるとは限らないので、不安です。いざとなったら息子がサポートしてくれるとは思うのですが、、、。認知症になっても借り入れ等はできるものなのでしょうか?

回答:司法書士法人トラスト

ご相談ありがとうございます。

不動産経営者の方は、入居者が途切れないよう修繕をし続けなければならないので、ご自身が認知症になってしまった際にアパート経営が滞ってしまわないか不安ですよね。

認知症等で判断能力が低下してしまった場合は、様々な契約行為ができなくなってしまいます。建物の修繕を行いたい場合は、リフォーム業者等と工事請負契約を結ぶことになりますが、こちらも契約になりますので認知症になってしまった場合は不可能です。

ご相談者様が心配されていたお借り入れも、いざ修繕等でお借り入れが必要になった時にご相談者様がもし認知症等で意思判断が困難な状況となってしまっていた場合は、残念ながら融資の契約を進めることはできません。

他にも、一部の物件を手放したいというニーズも不動産経営者であればあるかと思いますが、こちらも売買契約、売買の移転登記が必要になるため、認知症になってしまった場合は出来ないのです。

 

ご相談者様は、不動産を多数所有されており、何年後かには大規模修繕が必要になってくるそうですね。

では、このまま何の対策もしないまま認知症になってしまった場合、どうなってしまうのでしょう。

認知症になってしまっていても、それでも不動産売却や借り入れをしなければならない状況なのであれば、成年後見制度の利用を検討することになります。

成年後見制度を利用すれば、家庭裁判所が選任した後見人が意思能力の低下した本人に代わり、本人の財産管理をすることになります。

ですが、、、後見人は本人の財産を守ることが目的です。つまり、リスクを伴う借り入れ等は、家庭裁判所から許可が降りない可能性が十分に考えられるのです。

許可が降りるかどうかは、後見人が選任されたのちに家庭裁判所にお伺いを立ててみないと分かりません。なので、後見人が選任されたものの、結局借り入れの許可は降りず、専門職後見人に後見人報酬を支払い続ける、、、といった事態も考えられます。

借り入れができないため老朽化したアパートの修繕や建て替えができないままだとどうでしょう?

古くなったアパートには入居者が入らず収入は減り、税金や固定費ばかりかかり、本人の財産が減っていく一方という困った状況になってしまいます。この状況のまま立ちいかなくなってしまった場合、後見人はこの不動産を売却する手段を取ります。先代から代々相続していた不動産で、売却の意思がなかったとしてもおかまいなしです。

不動産を残したい、というお考えがあるのであれば、成年後見制度は避けたいところです。

成年後見制度は身寄りがない方にとっては素晴らしい制度です。

しかし、支えてくれる家族がいらっしゃる場合には、自由度が低いため窮屈に感じる制度でもあります。

そこで、成年後見制度と比較して自由度が高い「家族信託」という制度があります。家族信託とは、信頼できる方に財産を託し、代わりに管理してもらう制度です。

ご相談者様がお元気なうちに、不動産や金銭などの財産を息子様へ信託しておきます。

例えば、このような家族信託の設計はいかかでしょうか?

  • 委託者:お父様
  • 受託者:息子様
  • 受益者:お父様
  • 信託財産:お父様が賃貸されている不動産全て・不動産管理用の金銭

委託者と受益者をお父様とすることで、賃貸物件の管理や各種契約に係る部分はご長男にお願いしながら、お父様が不動産から得られる利益を受けることができます。家賃収入はお父様のものということです。

家賃収入も信託財産となりますので息子様が管理してくれます。

そして、その信託契約の中に、不動産の購入、不動産の建設又は建替え、金融機関からの借り入れ及びそれに伴う担保提供行為、賃貸借契約の承継などについての事項を信託の内容として契約書で定めます。

不動産を信託することで、所有権自体を息子様に移転した形となるため、建て替えが必要になった時にご相談者が認知症になっていたとしても、受託者である息子様の判断で、金融機関との金銭消費貸借契約や抵当権設定などの手続きをスムーズに進めることが可能となります。

信託契約の内容はお客様一人一人のご事情によって異なりますし、特に、お借り入れを予定されている場合は、金融機関の取り扱いなどにも留意しながら進めていく必要があるため、信託契約の組成にはお時間と費用がかかってしまいます。

しかし、それでも不動産経営が立ち行かなくなってしまうリスクに対しては、備えあれば患いなしだと私たちは考えています。法に則した管理を行っていただくためにも、家族信託をご一考ください。

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