信託中の実務Q&A

預金編

Q 信託契約締結後に受託者がすべきこと(預貯金に関するもの)はどんなことがありますか?

A 金銭についての信託契約を締結した際、受託者は信託口口座又は信託専用口座を開設していただきます。口座の開設は受託者だけでできますが、委託者の口座から信託口口座又は信託専用口座への信託財産の送金は委託者が行う必要があります。信託契約を締結したことで安心し、口座への資金移動を後回しにしてしまい、そのうちに委託者が認知症になってしまった場合、口座への資金移動はできませんので、ご注意ください。

 

・信託口口座とは:信託法に対応した口座で、委託者から信託された金銭を受託者が管理するための口座です。受託者個人の財産とは分けて管理されるため、仮に受託者が破産・死亡した場合でも信託口口座であれば差押え・凍結はされません。信託口口座作成に対応している金融機関は限られています。

 

・信託専用口座とは:託者から信託された金銭を受託者が管理するための受託者名義の口座です。屋号として「委託者〇〇 受託者〇〇」とつく場合もありますが、受託者個人の財産とみなされるため、仮に受託者が破産・死亡した場合は差押え・凍結はされてしまうので注意が必要です。

 

Q 最初に信託した金銭が少なくなってしまった場合はどうしたらいいですか?

A 信託契約書で金銭の追加ができる旨を定めていれば、その追加信託に関する条項に定められた方法に従って金銭を追加信託することができます。追加信託をする際も、資金の移動は委託者ご自身が行う必要がありますので、認知症等で判断能力が低下した場合は追加信託を行うことができません。追加信託を検討されている方は、お早めにお手続きされることをおすすめいたします。

 

不動産編

Q 信託契約締結後に受託者がすべきこと(不動産に関するもの)はどんなことがありますか?

A 不動産についての信託契約を結んだ際に、初めに受託者にしていただくことは以下のお手続きです。

①不動産の信託登記

不動産を信託する場合、まずは信託登記という登記を行います。この登記により登記記録上には「受託者」という肩書で管理を担う方のご住所とお名前が記載され、形式的所有者としてみなされることになります。

信託登記は、契約終了後速やかにお手続きをお願いします。契約時は意思判断能力がしっかりあった委託者が、登記をする際に状況の変化がある可能性があるためです。数日以内には法務局へ申請できるようにしましょう。

 

②火災保険・地震保険の名義変更

火災保険・地震保険の会社へ信託した旨を連絡してください。保険会社により手続が異なりますので、保険会社の指示に従い、手続きをお願いいたします。

 

③固定資産税の引き落とし口座の変更

所有権移転(信託)の登記を行いますと、次年度からは形式上の所有者である受託者宛に固定資産税の納付書が届きますが、固定資産税について負担すべきは委託者です。信託の目的に沿った支出ですので、信託財産についての固定資産税は信託口座から引き出して納付していただくか、信託口座から固定資産税が引き落としとなるように市役所でお手続きください。

 

Q 信託している不動産を売却した場合、売却代金は誰が受領しますか?

A 信託している不動産を売却することになった場合、売買に関する手続きは受託者が行います。※信託契約書で権限が与えられている場合

信託不動産を売却して得られた現金は信託財産となりますので、受託者が受領し、受託者が管理することになります。

 

共通

Q 信託契約中、契約内容を変更したくなった場合はどうしたらいいですか?

A 例えば、第二受託者を変更したい、信託していた不動産の一部だけ信託を解除したい、など運用中に変更したい事項が発生した場合、信託の内容を変更できる旨を定めていれば内容を変更することができます。その場合、信託契約書の信託の変更に関する条項に従い、変更することとなります。

例)受託者は、受益者との書面による合意により、本件信託の内容を変更し、又は本件信託を一部解約することができる。

変更した事項が不動産の登記簿(信託目録)に記載されている事項であれば、登記されている信託目録も変更の登記をする必要がありますので、司法書士にご相談ください。

 

Q 家族信託を途中で終了させることはできますか?

A 信託契約書で定めてある条項に従い、途中で終了させることができます。例えば、受益者と受託者の合意で終了させることができる旨の定めがあれば、2者間の合意で信託を終了させることができます。なお、信託法では、「委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、信託を終了することができる」旨の規定(信託164条1項)がありますが、信託契約書に別段の定めがあればその定めに従うことになります。

 

Q (受益者連続の場合)当初受益者が亡くなった場合はどうしたらよいですか?

A 受益者連続型の信託の場合、その時点で第二受益者がご存命であれば、受益権は第二受益者に移転しますので、当初受益者が亡くなっても信託は終了せず、信託契約は継続されます。

不動産を信託している場合、受益者変更の登記が必要となりますので司法書士にご相談ください。

 

Q 信託終了時は誰が清算の手続きを行いますか?

A 信託が終了した際は、信託していた財産の清算手続きを行うこととなります。清算手続きを行う人のことを「清算受託者」と呼び、清算受託者は契約書で指定されています。清算受託者は、信託財産に関する負債や未払の費用(公租公課など)を残った信託財産で清算し、その後、残余財産を信託契約書に記載された帰属権利者に分配する役割があります。

 

Q 信託終了時、信託していた財産は誰に帰属しますか?

A 信託契約書に記載された帰属権利者(信託終了時に信託財産を引き継ぐ人)へ帰属します。

 

 

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