ご相談内容
Q.「私の一人娘には子ども(孫)がいて、私はその孫を養子にしています。相続においては孫も正式な法定相続人になりますが、娘の夫が浪費癖のある人であり、万一、孫に遺産(特に現金)を一括で渡すと、娘夫に使い込まれるのでは…と心配しています。私が亡くなったあと孫に渡る遺産について、一括で渡さない方法はありますか?」
専門家の回答
A. 家族信託を使えば「遺産の定期分割給付」が可能です
家族信託とは?
家族信託とは、財産の管理・処分を信頼できる受託者に任せ、受益者のために活用する制度です。信託契約の形で行うのが一般的ですが、遺言書の中に「信託条項」を記載することで、死亡と同時に発効させることも可能です。
今回のようなケースでは、
- 委託者:被相続人(祖父母)
- 受託者:信頼できるご家族
- 受益者:孫(養子)
として、次のような信託スキームを設計します。
図解:家族信託型遺言の基本構造と給付イメージ
家族信託の設計のポイント
- 受託者の選定
- 信頼できるご親族を任命
- 遺言者の相続発生時に受託者が就任できる状態ではない可能性がある点も考慮する。
- 給付スケジュールを明記
- 毎月〇万円×〇年間、など具体的に記述。
- 受益者死亡時や途中変更の備えも
- 受益者が未成年・学生の場合、20歳で一部一括、30歳で全額、など段階的分配も可能。
このような人におすすめ
- 遺産の一部(現金)だけを孫に渡したい
- 娘の配偶者に使い込まれるのを防ぎたい
- 教育・生活資金として計画的に使ってほしい
- 孫が未成年であり、自立まで時間がかかる
- その他、遺言で財産を渡したい相手に、財産の管理能力がない
おわりに
家族信託を活用することで、「孫に定期的にお小遣いを遺す」という細やかな願いも実現可能になります。
将来の安心のために、自分の意思を反映した相続設計を今のうちに検討してみませんか?