お客様:不動産管理会社で勤務していて、収益物件の管理をしておりますが、担当しているオーナー様で高齢の方がいらっしゃいます。多くの物件を管理させていただいており、大規模な修繕を予定しているところもあります。だんだんと物忘れも多くなってきたので、オーナー様が契約内容を理解する事が難しくなった時の事が心配です。そういう場合、オーナー様の息子さんに代わりにお願いしても良いのでしょうか。
トラスト:アパートを探しているお客様は新築のアパートを好む傾向がありますよね。新築のアパートに対抗するため、大規模な修繕を検討することもあるかと思います。昔は、本人が契約できない場合、家族が代わりになんてこともあったようですが、最近はコンプライアンス遵守が求められ、業者側も法定に有効な形での契約でなければ受けてくれません。
当然ですが、オーナー様名義の物件であれば、オーナー様ご自身で契約をしていただかなくてはいけませんし、息子さんが代わりに契約を交わしたい場合、息子さんに正式な代理人としての権限を与えられていなければそれはできません。
お客様:やはりそうですよね。自分の大切な契約を、他の人が好きにできたら心配ですよね。ちなみに代理人としての権限を正式に与えるためにはどのような手続きをするのでしょうか。
トラスト:方法は二つございます。一つは成年後見制度を利用すること、そしてもう一つが家族信託を活用することです。どちらも代理人に財産管理の権限が与えられますので、例えば修繕の契約、入退去・更新、家賃の管理ができるようになります。
二つの違いはいくつかありますがそのうちの一つは、利用開始時の判断能力の有無です。既に認知症等で物事の適切な判断がつかない状態であった場合は、成年後見制度、まだご自身で物事の判断がつく状態であった場合は家族信託を選択することになります。
お客様:例えばオーナー様だったら、年相応の判断能力をお持ちのように見えるので、家族信託を選ぶ、ということになるのでしょうか。
トラスト:そうですね。ひとえに認知症と言ってもその認知機能のレベルは様々で、ご家族の顔も名前も覚えていない方もいらっしゃれば、加齢による物忘れが見られるぐらいの方もいらっしゃいます。オーナー様とお会いしてお話ししてみないと分かりませんが、年相応ということであれば、家族信託を利用する事ができます。
お客様:なるほど。認知症でも家族信託をやりたいという意思の確認ができれば手続きを進められるということですね。ちなみに家族信託って一体どのような仕組みの制度なのでしょうか。
トラスト:家族信託とは自分の財産を自分で管理できなくなってしまう事態に備えて、家族などに財産を管理・処分する権限を与えておくことです。財産を託す人を委託者、託される人を受託者、託した財産によって生じる利益を受ける人を受益者と呼びます。このうち受託者がいわゆる代理人となり、オーナー様の財産管理を行うことになるわけです。また、財産を守るための成年後見制度とは異なり、柔軟な財産管理ができるところが魅力の制度になります。
お客様:受託者に財産管理の権限が与えられて、各種契約ごともできるようになるのですね。柔軟な財産管理といっても、なんでもかんでもできるわけでもないんですよね。
トラスト:もちろんです。家族信託では必ず「信託の目的」というものを設定します。受託者となった方はこの信託の目的に則り財産管理を行います。信託の目的に反していなければ、不動産を売却したり、お借入れをしたりすることもできます。受託者には幅広い権限が与えられますので、その分、守らなければいけない義務も多くございます。
お客様:家族信託、いい制度ですね。オーナー様にも少しお話してみたいと思うのですが、実際、家族信託の手続きをお願いするとなるとどのくらいの金額がかかるのでしょうか。
トラスト:家族信託契約書の作成報酬は165,000円(税込)となっております。
その他、信託する財産額に応じ契約内容のコンサルティング報酬として以下の報酬をいただいております。
信託財産の評価額 | 報酬(税込) |
---|---|
1億円以下の場合 | 1.1%(3,000万円以下の場合は、最低額33万円) |
1億円超3億円以下の場合 | (0.5%+50万円)×1.1 |
3億円超5億円以下の場合 | (0.3%+110万円)×1.1 |
5億円超10億円以下の場合 | (0.2%+160万円)×1.1 |
10億円超の場合 | (0.1%+260万円)×1.1 |
なお、信託財産に不動産が含まれている場合は法務局への登記申請が必要となり、登記報酬11万円(税込)~にて承っております。
お支払いは手続完了時に現金またはお振込みにてお願いいたします。
※上記は基本報酬となり、案件の内容によって加算となる場合がございますので、ご了承ください。
お客様:結構かかりますね。ちなみに自分でやることってできますか?
トラスト:ご自身で契約書を作成することもできます。
実際私たちの事務所でもご自身で信託契約書を作成された方もいました。ただ、その方は不動産を信託されていらっしゃったのですが、不動産を信託した場合、法務局への登記が必要になります。
「契約書は自分で作れたけど、登記は難しい」とのことで来てくださったのですが、契約書を確認させていただいたら、本来お客様が信託したかった不動産が信託契約書には記載がなく、追加で契約書を作成することになってしまったケースがありました。
お客様:そういう話を聞くと、自分でやるよりも専門家と一緒に作成する方がいいなと思いますね。
トラスト:家族信託は今後の生活を安心して過ごすためにするものです。せっかく契約書を作ったのに対応できない事態が発生したら元も子もございません。
そのため、契約書の作成時には、自身の家族にあった契約書になっているか、また信託契約中だけではなく、信託を終了したとき、この契約書ではどのような事態が発生するか等あらゆる面から検討を重ねる必要がありますので、経験のある専門家を交えて作成することをお勧めします。